2015年5月19日火曜日

警察は病死が嫌い

ぶっちゃけた話、警察は病気で死んだ死体には興味が無いようだ。

持病をたくさん抱えた老人が家で死んでいたとしよう。家族が見つけて110番というパターンだと、通報を受けた警察官は「それってホントに事件?」とだいたい口をとがらせる。 しぶしぶ警察が出張って聴きこみをし、「うちの爺ちゃん、だいぶ前に脳梗塞をやりました、糖尿病にコレステロールに高血圧、前立腺肥大。胃がんで手術も受けてたわね。」といった話が出てきたら、かかりつけの医者が呼ばれて、「病死ってことで」と死体検案書を書かせておしまい、という話はわりとよくあるようだ。

 「刺し」「首絞め」「撲殺」など、外見に明らかな異常(業界用語では異状)がある死体だと、警察官の見た目にもわかりやすい。そうした捜査情報は一般人が決して触れられないし、仲間内での秘密を共有している優越感や一体感もあるのだろう。狭い世界で部活のノリである。しかし、病死だと医学用語が出てくるし、死に至ったメカニズムなどを医者から説明をうけなければならない。

犯罪捜査のエリートたる刑事として、医者ごときに頭を下げて説明してもらうというのは、プライドが許さないようだ。必要な説明をわかりやすくすることはぼくらの仕事の範疇なのだし、あちらの意識過剰と思うのだけれど。

 余談をひとつ。最近、当直明けにボーっとしていて、ぼくは不覚にも踏切の一時不停止をやってしまった。止められた時に交通警官に職業をきかれたので「◯◯病院の職員です」と答えたら、「あんた医者でしょ!」と見破られて怒鳴られ、「・・はい」と言ったら、青切符に「◯◯病院(医師)」と大きく書かれた。

医者かどうかなんてどうでもいいようだが、医者は警察の敵なのだそうだ。これまでにいくつかの県の病院で働いたけれど、どこでも似たような経験をナースや技師さん方もしているそうで、どうやら警察官は医者にかぎらず医療関係者が嫌いなようだ。ぼくらも外来に警察官が受診するとビビるんだけれども。

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