2018年6月16日土曜日

合法的に死なせてもらう


医師が「死んでも仕方ない」と考えながら死に至る薬を投与することは、犯罪です。日本だと自殺幇助あるいは殺人罪に問われます。しかし、たとえば鎮痛薬を徐々に徐々に増やしていくというやり方だと、犯罪になることはありません。「安楽死のための法律」が存在しない日本ですが、いわば合法的に安楽死が可能です。 

つまり、「速効性のある安楽死は犯罪だけど、ゆっくり安楽死させるのは罪に問われない」 


この抜け穴を駆使して、医師が患者の死を早めるために麻薬が便利です。国が認めた医薬品には「添付文書」というものがついています。取扱説明書ですね。この中で、効能効果というのが書いてあり、医師はその目的で薬を使うことが許されています。どんな薬も効果と副作用があり、メリットが上回る範囲で使います。麻薬だと、痛みを和らげるためというのが本来の使い方です。が、量が増えてくると死の原因にもなります。 


ぶっちゃけた話、鎮痛や苦痛緩和の目的を達成するために合理的であれば、不幸な結果が出たとしても医者は保護されます。犯罪にも問われません。   


  目的:痛みを取り除きたい 

 方法:鎮痛のために麻薬を使った 
 結果:呼吸不全で死亡
 考察:麻薬を使っても通常量では鎮痛が得られないため、かなりの高用量を投与することとなった。結果的に死亡したが、本人に説明して了承を得たうえで苦痛緩和を目的としたものであり、判断と行為は正当化される。

これなら筋が通ります。
たとえ医者の本音が、このようであったとしてもです。

  目的:苦痛がひどく、本人から死なせてくれと哀願されたため、願いを叶えたい

→ 方法:鎮痛のために麻薬を徐々に増量した
→ 結果:呼吸不全で死亡
→ 考察:外形上は上のケースと同じ。

「苦痛緩和の目的」という外形であるならば、「痛みの治療にかこつけて、早く死なせて耐えがたい苦痛から解放してやろう」という意図があったかどうかは、医師の内心の問題ですので、誰かに言わなければわからないでしょう。

じゃあサイコパスの医者が、麻薬を乱発して患者の大量虐殺を図るようなケースはないのか、と心配に思う方もいるかも知れません。薬剤師や看護師などの専門職が幾重にもチェックをしますので、まずもって起こりえないと思います。

とはいえ、心身ともに死んでしまいたいほどつらい苦痛を抱えている方は、まずは、各地にいる在宅医療や緩和ケアの専門医に相談するといいと思います。死ぬほどつらい痛みでも、薬でどうにかなることも多いので。


日本でもできる「安楽死」について、医者として質問に答えます。
聞きたい情報があればこちらからお寄せ下さい。
https://docs.google.com/forms/d/1nwfWK0bg3ILwCWzdYpF1eu4MjgRpuTn5Szb6-uMQo4s

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