2018年6月20日水曜日

アジ化ナトリウム

古くは車のエアバッグに使われていたアジ化ナトリウム。

爆発させてみた実験画像はこちら。
https://io9.gizmodo.com/sodium-azide-is-the-nastiest-chemical-that-ever-saved-l-1694952138

2014年にも京都工芸繊維大学で爆発事故が起きています。アジ化物を作るためにフラスコで試薬を加熱していたところ爆発し、学生が重軽傷を負いました。化学者も気をつけて扱うそうです。わたしも院生の頃、技官の先生に厳しく指導された思い出があります。

塩や水溶液が金属と接触すると爆発するおそれがあるため、プラスチックの密閉容器に保管します。廃液を下水道に流してはいけません。配管の金属と接触して爆発されても困りますからね。

溶液や塩に酸を加えると、シアン化水素と同様に毒性の高い、アジ化水素ガス(HN3)を生成します。また、水に溶かして摂取すると、腸管から吸収されます。血圧低下や激しい頭痛が生じます。1gでも致死的になることがあります。


メカニズム的には、細胞内のミトコンドリアが障害されて酸素が使えなくなることにより、いわば細胞が窒息します。とりわけ脳や心筋など酸素が最も必要な臓器がダメージを受けます。低血圧やショック、呼吸不全を引き起こし、比較的穏やかに死ねるといわれています。解毒剤は知られていません。

こんなやばいアジ化ナトリウムですが、かつては法の規制が緩かったので、防腐剤として、いたるところで使われていました。毒性の割に管理がザルかったので、飲み物が入ったポットに放り込んで、知らない人達に毒入りのお茶なんかを飲ませて、集団で薬物中毒に陥れることもありました。国立宇多野病院の事件とかが有名ですね。今は毒物に指定されていて入手も困難ですが。

日本でもできる「安楽死」について、医者として質問に答えます。
聞きたい情報があればこちらからお寄せ下さい。
https://docs.google.com/forms/d/1nwfWK0bg3ILwCWzdYpF1eu4MjgRpuTn5Szb6-uMQo4s



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