毎日、患者さんの家族から相談されることを凝縮するとこういった感じだ。
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救急車で搬送された。重症患者なので挿管やら人工呼吸管理などがされて、しばらく寝かされていた。リハビリしても多くは望めない、ADLが著明に落ちて、メシが食えなくなると医者に言われた。自分で食事が摂れないと介護施設には入れないので、代替栄養を導入して転院になる。
入院させているとカネがかかる。長期入院になればなるほど大変だ。高齢者では医療費負担だけでなく、介護用オムツやらパジャマ代、個室代・差額ベッド代など、あの手この手で病院からカネを請求される。介護施設でも同じような構図がある。高齢者の手元に入ってくる年金だけで、こうした費用をすべてカバーできるほど豊かじゃないので、われわれ家族が爪に火を点して稼いだカネで足りない分を補填することになる。
そうなると、金の切れ目が縁の切れ目だ。話もできず、自分で食事も摂らずただ寝ているだけの高齢者に、必死に働いた稼ぎをどうして毎月数十万円も投じなければならないのか。「老人の介護にはゴールが見えないが、いつまでもカネが持たない。寝たきり老人が家にいたら働けない。仕事辞めて介護するのか・・」と憤懣やるかたない。
自分の子どもなら苦労して子育てしたぶん、自分の老後の面倒を見てくれるかもしれないが、高齢者の世話をしても自分の将来は保障してくれない。仕事を辞めて介護したら、それこそお先真っ暗である。幸か不幸か、病院にいる限りはそれなりの質のケアがなされてしまうので、いつまでも安定した状態が続いてしまい、出費が止むことはない。
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こんな話ばかり聞かされていると、急性期病院で提供する医療には年齢制限を設けてもいいのかもしれないと思う。
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